イタリアワインの未来が変わる? 病気に強いブドウ品種「PIWI」がDOC・DOCGに?

イタリアワインの世界で、病気に強いブドウ品種「PIWI(ピーヴィー)」をめぐる動きが出てきました。これまでイタリアでは、PIWIを使ったワインはIGTとして造ることはできても、DOCやDOCGのワインには使用できませんでした。しかし今、このルールを見直そうという動きが始まっています。

気候変動への対応が求められるなか、イタリアのワイン造りはこれからどう変わっていくのでしょうか。

PIWIとは? 病気に強いブドウ品種

PIWIとは、主にブドウの病気であるうどんこ病やべと病に強い性質を持つブドウ品種のことです。

こうした品種を栽培するメリットのひとつは、病気を防ぐための農薬散布を減らせる可能性があることです。特に湿度が高く、病害への対策が欠かせない地域では、ブドウ畑の管理にかかる負担やコストを抑えることにもつながります。

気候変動への対応や、環境に配慮したブドウ栽培が求められるなか、PIWIはイタリアでも注目されるようになっています。

なぜDOCやDOCGでは使えないの?

現在のイタリアでは、ワイン法によって、ヨーロッパブドウとアメリカやアジア由来のブドウ属を交配した品種を使ったワインは、DOPの認定を受けられないことになっています。イタリアのDOCやDOCGも、このルールの対象です。

一方、IGTのワインでは、こうした品種を使用することが認められています。

EUでは2022年に、異なるブドウ種の交配に関する従来の制限が見直され、各国が判断できる仕組みになりました。しかし、イタリアでは国内の規制が残っているため、PIWIをDOCやDOCGのワインに使うことは、現在も認められていません。

今回の議論は、このルールを変更し、PIWIをDOCやDOCGでも使えるようにしようというものです。

イタリアで始まった法改正への動き

2026年10月、イタリアの政治家であるジャン・マルコ・チェンティナイオ氏とアントネッラ・フォラッティーニ氏が、PIWIをDOCやDOCGのワインにも使用できるよう、制度の見直しを進める考えを示しました。

農業大臣への質問を行うとともに、2024年春に提出された法案の審議を再び進めることを目指しています。

ただし、現時点では法改正が決まったわけではありません。法案は上院の委員会で審議されておらず、今後の動きを見守る必要があります。

イタリアではPIWIの栽培も進んでいます

イタリアの国家ブドウ品種登録簿には、白ブドウ18品種、黒ブドウ18品種の、合計36品種のPIWIが登録されています。

栽培が認められている地域には、ピエモンテ、ロンバルディア、トレンティーノ=アルト・アディジェ、ヴェネト、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア、エミリア=ロマーニャ、マルケ、アブルッツォ、ラツィオ、カンパニアなどがあります。

また、DOC Delle Venezieでは、ピノ・グリージョにPIWI品種を10%組み込む試験も行われています。

PIWIをDOCやDOCGに取り入れることができるようになれば、実際に使用するかどうかは、生産者や各ワインの保護協会などが判断することになります。制度が変わったとしても、すべてのワインに一律に導入されるわけではありません。

伝統を守るか、新しい品種を取り入れるか

イタリアワインにとって、DOCやDOCGは産地やワインの個性を守るための大切な制度です。そのため、新しい品種を認めることについては、伝統やワインの個性をどう守っていくかという問題もあります。

一方で、気候変動への対応や、ブドウ畑での農薬散布を減らすことも、これからのワイン造りにとって重要な課題です。

伝統を大切にしながら、環境の変化にどう対応していくのか。PIWIをめぐる今回の議論は、イタリアワインのこれからを考えるうえでも興味深い動きだと思います。

個人的には、これをきっかけに、PIWIを使った新しいIGTやヴィーノ・ダ・ターヴォラの再ブームが起きたりして……なんて思っています。